特定看護師のフォロアップ研修が実施される
- 急速に高齢化が進んでいること
- 看護師数が不足していること
などを背景に、特定看護師のニーズが高まっています。
しかし、
日本慢性期医療協会では、
- 特定行為の対象となる症例がいない
- 医師の理解が進んでいない
などの問題もあるとして、
日本看護協会は特定看護師制度の拡充に努めるとともに、
特定看護師対するフォローアップ研修
を実施することを明らかにしました。
特定看護師とは
特定看護師とは、
でもお伝えしたように、
特定行為に係る研修(特定行為研修)を受講した看護師のことで、
特定看護師は、
医者がいないときにでも、
- 気管カニューレの交換
- インスリンの投与量調整
などの38の医療行為ができるのです。
特定看護師の制度は厚生労働省の定めたもので、
特定行為に係る看護師の研修制度 ⇒ 厚生労働省
医師から看護師への業務移管(タスク・シフティング)が求められるなかで、
新たな医療の在り方における看護師の働き方ビジョンにおいて、
非常に重要な制度なのです。
厚生労働省の報告では、2018年3月末時点で、
1,006名の看護師が特定行為研修を修了し特定看護師となっています。
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特定看護師のフォロアップ研修が行われる
日本慢性期医療協会は、
特定看護師にアンケート調査を行いました。
その結果、
特定看護師が行っている特定医療行為は、
- 気管カニューレの交換 : 64.4%
- 中⼼静脈カテーテルの抜去 : 41.7%
- 褥瘡や慢性創傷における壊死組織の除去 : 37.9%
- 脱⽔症状に対する輸液による補正 : 24.8%
- 感染徴候者に対する薬剤の臨時投与 : 19.2%
- 創傷に対する陰圧閉鎖療法 : 18.1%
というように、
幅広い分野におよんでいることが分かったとしています。
さらに、
特定行為研修で学んだ特定行為以外にも、
- 患者の異常の早期発⾒と主治医への報告
- 連携施設入所者の⾎液データのチェック
- 主治医・家族・スタッフ間の中⼼的役割として相談や説明
- 看護師特定⾏為の実習受け入れやサポート
- 院内指導や院外講師活動
なども行っていることが明らかになったとしています。
しかし、
- 特定看護師業務について医師の理解が得られない
- 患者や家族に特定⾏為を拒否される
- 通常業務中に特定⾏為ができない
- 特定⾏為を⾏うことに不安がある
- 対象症例が少ない病院では知識や技術が薄れていってしまう
というような問題点もあることが明らかになったのです。
そこで、
日本慢性期医療協会では、
10月27・28日に、
東京都内で「フォローアップ研修」を実施することを明らかにしました。
詳しく見る ⇒ 特定看護師のフォローアップ研修
対象看護師は日本慢性期医療協会で特定行為研修を修了した特定看護師としていますが、
他の機関で研修を受けた特定看護師の参加も歓迎するとしています。
フォローアップ研修では、
- 実施できている⾏為の再確認
- 実施出来ていない⾏為のシミュレーション
- 新たに追加となったPICC挿入と中⼼静脈カテーテル抜去の研修
- 特定看護師同士の情報交換
- 事例検討
などが計画されています。
日本慢性期医療協会では、
特定行為研修を行っており、今までに119名の特定看護師を養成し、
2018年9月にはさらに29名特定看護師が誕生します。
日本慢性期医療協会の特定行為研修では、
厚生労働省の定める21区分38行為の中の、
9区分16行為の特定行為研修を実施しており、
- 慢性期医療
- 在宅医療
の分野で活躍する特定看護師を養成しています。
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特定看護師の現状
厚生労働省は、平成30年9月11日に看護師の特定行為研修シンポジウムを開催し、
組織の管理者が考える特定行為研修
を課題として医療関係者の意見交換を行っています。
この中で、
- 看護師特定行為研修制度の意義や役割
- 医師からみた研修修了者の活躍の効果
- 特定行為研修の体制整備等についての計画や取り組み
が話し合われましたが、
医師は自分達の医療手技について、
看護師に対して同等の知識と技能を要求することが多いが、
それを満たす看護師は多くはない
として、
医療現場を向上させ、
特に地域医療の現場では必要不可欠である。
ということが認識されたようです。
看護師の特定行為研修シンポジウム ⇒ 厚生労働省