看護師は不足しているのか?
はじめに
看護師不足は悪化の一途をたどっており、病院の存続を左右する深刻な問題になっているという。
看護師の求人数5,000に対して、職を求める看護師の数はわずか1,600人に過ぎないそうだ。
看護師の求人倍率は約3倍で、一般職の求人倍率1.9と比べて非常に高い。
看護師は本当に不足しているのか?、
調べてみました。
日本の看護師は不足しているのか?
厚生労働省は2015年7月16日に、「2014年衛生行政報告例(就業医療関係者)」を公表した。
この資料によると、2014年末における、就業看護師数(看護師として働いている看護師の数)は108万6,779人で、過去最高だったそうだ。
准看護師は34万153人で、両者を合わせた就業看護職員数は142万6,932人とこれまでで最も多く、看護師数は2012年より7万1035人(7.0%)増えたが、
准看護師数は2012年より1万7624人(4.9%)減り、2002年の39万3413人をピークに減少の一途をたどっているそうです。
看護師の男女の内訳は、
- 男性 : 7万3968人
- 女性 : 101万2811人
で、
圧倒的に女性看護師が多いが、
男性は2012年から1万647人増加して16.8%の増だが、
女性は6万3,88人の増加で6.3%増と男性看護師の増加が顕著で、
10年前の男性看護師数は3万1,594人だったが、10年で200%の増加である。
なお、准看護師数では、男性が2万2,877人、女性が31万7,276人だったそうだ。
准看護師については、
1996年の厚労省、准看護婦問題調査検討会の報告において、「21世紀初頭の早い段階を目途に、看護婦養成制度の統合に努める」ことが提言されており、
それに伴って准看護師養成施設が年々減少していることや、准看護師から看護師になる移行教育が積極的に行われており、准看護師は年々減少している。
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厚労省は看護師不足を懸念している
上の図に示したように、1975年頃には20万人だった看護師数は、2014年には120万人と数字で見るかゴリは急増している。
日本の人口は減少し、1985年頃をピークにして減少に転じているのだが、看護師数はそれでも不足なのだろうか?
厚生労働省は、
- 看護師の就業者数は2013年末で約157万人であるが、
- 団塊世代が後期高齢者となる2025年には196万人~206万人が必要
と試算しているのです。
しかし、
- 看護師の就業者数は、毎年約3万人程度増加しているが、
- このペースで増加しても2025年には3万人~ 13万人の看護師が不足する
と 見積もっているのです。
厚労省は、今後に必要となる看護師を着実に増加するために、
平成2014年6月に、
医療介護総合確保推進法を公布
して、
- 看護師の復職支援
- 看護師の離職防止と定着促進
に取り組んでいるのです。
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世界に比べて日本の看護師は不足なの?
日本の看護師数はそれほど不足しているのでしょうか?
世界各国では看護師の数は日本より多いのでしょうか?
世界保健機構(WHO)による、世界の看護師数を比較してみました。
- インド 2,124,667人 (調査年2011年)
- 中国 2,048,071人 (調査年2010年)
- ブラジル 1,520,533人 (調査年2013年)
- 日本 1,452,635人 (調査年2012年)
- ロシア 1,214,292人 (調査年2006年)
- ドイツ 944,000人 (調査年2011年)
- フランス 587,099人 (調査年2011年)
- イギリス 554,268人 (調査年2012年)
- ウクライナ 341,504人 (調査年2012年)
- インドネシア 338,501人 (調査年2012年)
ん、、。
これで見る限り、日本の看護師数は多そうなのですが、
問題は、人口当たりの看護師数です。
経済協力開発機構(OECD)は人口1,000人当たりの就業看護師者数を比較しています(データは2013年)。
これによると、人口1,000人当たりの就業看護師者数での順位は、
- 日本
- アメリカ
- イギリス
- 英国
- スイス
- オーストラリア
と、
日本の人口当たりの看護師数は少なくはないのですね、、、。
まとめ
日本の看護師数は、
- 現時点ではまあまあ、、、
- 2035年には超不足
ということなのです。