看護師の夜勤における勤務間インターバルは11時間に
はじめに
2017年度夜勤実態調査の結果が公表され、
医療機関で働く看護師の勤務状態が明らかになりました。
勤務形態では2交替制勤務を採用している病棟が約4割もあり、
2交替を行っている病棟の40%以上で16時間以上の長時間夜勤があるのです。
日本医療労働組合連合会(医労連)では、
看護師の勤務では3交替交代制が望ましいとしているのですが、
現実的には人手不足などの関係から実現に至っていないことが明らかになりました。
看護師の夜勤は2交代制度が多い
日本医療労働組合連合会は、
「2017年度夜勤実態調査」の結果を発表しました。
この実態調査は、医療機関で働く看護職員等の夜勤実態を把握するために毎年行われているのですが、
2017年6月に、
- 402医療施設
- 3,045職場
- 看護職員 10万4,672人
を対象にした大がかりな調査です。
詳しく見る ⇒ 2017年夜勤実態調査
その結果概要は、
- 2交替夜勤はやや減少したが37.2%もあった(2016年は38.4%)
- 2交替夜勤時間は16時間未満が増加し、16時間以上は減少した
- 2交替病棟の40%以上で16時間以上の長時間夜勤があった
- 勤務と勤務の間の勤務間インターバルが「8時間未満」が50%もあった
- 法規制に抵触する月9回以上の夜勤日数(2交替では月4.5回)は、
・3交替:23.9%
・2交替:31.8%
で特 に ICUでの回数超過が多かった。 - 3交替が増え、2交替や2交替と3交替の混合は減少した
医労連では夜勤時間が8時間以内になる3交替制を求めているのですが採用する病棟は減少傾向にあり、
2交替制が39.2%で、夜勤の勤務時間が8時間を超え、16時間以上の勤務を伴う病棟も59%もあったのです。
勤務後に次の勤務までの間隔でも病棟で差が大きく、8時間未満が45%もあったのですが、
今年夏の政府による「過労死等防止対策大綱」では、
看護師では深夜勤務が多いことから「勤務間インターバル制度」の導入の検討を求めたのですが、
人手不足などの理由で導入に踏み切る医療施設は少ないのです。
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看護師における勤務間インターバルとは
厚生労働省は、
働く方々の健康確保とワーク・ライフ・バランスの推進のために「夜勤間インターバル制度」を導入しましょう
と呼びかけています。
詳しく見る ⇒ 厚生労働省・夜勤間インターバル
「勤務間インターバル」というのは勤務と勤務の間の時間のことで、
看護師に限らず、労働者の毎日の勤務後には必ず一定の休息時間を取れるようにするというのが勤務間インターバル制度なのです。
2018年6月29日に成立した「働き方改革関連法」によって、「労働時間等設定改善法」が改正されたのですが、
勤務と勤務の間に一定の休息時間を確保することが事業主の努力義務として規定され、厚生労働省は 時間外労働等改善助成金 をも設け、
2019年4月1日から施行するとしています。
看護師の勤務間インターバルは11時間以上に
日本看護協会は「働き方改革関連法」を踏まえ、
2018年9月13日に「看護職の夜勤負担に関する調査研究報告会」を開催し、
安全な看護と、看護職員の健康の上からも、
「労働時間等設定改善指針」に
1)3交代(1勤務8時間)の場合には夜勤は月8回以内
2)勤務間インターバルは11時間以上
を明記するようにとの提言を行っています。
以上のように、
2017年度夜勤実態調査により、
- 長時間の2交替夜勤
- 勤務間隔が極端に短い
という過酷な看護師の勤務実態が明らかになったのですが、
2019年4月1日から施行される、「労働時間等設定改善法」により、
看護師の勤務間インターバルは11時間以上を実現してもらいたいものです。
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