看護と介護の違いは?

はじめに

先日の、厚生労働省による「医療従事者の需給に関する検討会」の第10回看護職員需給分科会では、

看護職員の確保策に関する議論のまとめのたたき台について議論されたのですが、

「看護と介護の役割の差を明確にしないと、正確な需給推計ができないのでは」

などと声が上がり、都道府県ごとに「看護と介護」の需給推計をまとめることが決まりました。

 

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看護と介護の違い

では、看護と介護」はどのように違うのでしょうか?

 

一般的には、

  • 看護はケガや病気などの患者の治療や患者自身と患者の家族を援助をすること
  • 介護は高齢者や身体が不自由な要介護者の日常生活を援助をすること

と考えることができます。

 

行政や資格でも、

  • 看護 : 看護職(福祉職)、介護福祉士
  • 介護 : 介護職(医療職)、看護師

との違いがあり、全く異なる職種なのです。

 

看護師は患者の療養上での、

  • 診療の補助
  • 療養の世話

をおこなうのですが、

 

介護福祉士は要介護者などの、

  • 日常生活の支援

が主な業務なのです。

 

看護と介護にはきちんとした定義はなくやや曖昧なのですが、

資格や行政上では明確な違いがあるのです。

 

介護福祉士、社会福祉士、ヘルパーの違い

介護関連の仕事では、介護福祉、社会福祉、ヘルバーと呼ばれる人が働いていますが、

この3つの職業にはどのような違いがあるのでしょうか?

 

介護福祉士

介護福祉士はケアワーカーとも呼ばれ、介護施設や訪問介護事業所などで、要介護者の食事、入浴、排泄などの日常生活一般のサポートをおこなうのが仕事です。

介護をおこなう介護福祉士の資格も看護師と同じように国家資格です。

介護福祉士になるには大学や専門学校などで必要な単位を取得するか、

3年以上の実務経験を積んで実務者研修を終了すれば国家試験を受験することができます。

 

平成29年には76 ,323人が受験し、55 ,031人が合格し、合格率は72.1%でした。

 

民間資格ですが、介護福祉士の上位資格として2015年12月から一般社団法人 認定介護福祉士認証・認定機構が認定介護福祉士の認定を開始しています。

 

社会福祉士

社会福祉士はソーシャルワーカーとも呼ばれ、

日常生活に困難を感じている人の福祉に関わる人の相談に乗って適切なアドバイスや指導などを行う職業です。

 

社会福祉士になるためには、大学や専門学校などで必要な単位を取得した後に国家試験に合格する必要がありますが、

平成29年の受験者は45,849人で11,828人が合格し、合格率は25.8 %でした。

 

ヘルパー

介護施設や訪問介護事業所どでは、介護福祉士の他にヘルパーさんと呼ばれる人も要介護者の日常生活のサポートをおこなっています。

介護福祉士とヘルパーの仕事はほぼ同じですが、

ヘルパーは介護福祉士の資格を持たない人で、多くの場合ヘルパーはパート社員であることが多いようです。

 

訪問介護では、ホームヘルパーと呼ばれる人が要介護者の家を訪問して介護に当たりますが、

介護保険上では訪問介護員と位置づけられています。

 

民間資格で、ホームヘルパー2級がありましたが、現在は介護職員初任者研修にかわり、実務者研修を終了すれば介護福祉士の試験を受けることができるようになりました。

 


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看護師が介護施設で働く

高齢者が増え、介護施設が目に付くようになりましたが、

介護施設には多くの種類があり、多くの看護師も働いています。

 

介護施設には、

  1. 特別養護老人ホーム(特養)
  2. 介護老人保健施設
  3. 介護療養型医療施設(介護療養病床)
  4. サービス付き高齢者向け住宅
  5. 有料老人ホーム
  6. 養護老人ホーム
  7. 経費老人ホーム
  8. 認知症高齢者グループホーム
  9. デイサービス

の種類があります。

 

介護施設では介護福祉士やヘルパーが要介護者の日常生活をサポートしていますが、

看護師も介護施設で働いています。

 

介護施設における看護師の仕事としては、

要介護者の日常生活のサポートも業務の1つですが、

 

  1. 施設全体の安全な環境の確保
  2. インフルエンザなどの発生の予防や蔓延の防止
  3. 感染症や感染性胃腸炎などの予防や蔓延の防止
  4. 感染症を発症した要介護者の管理
  5. 投薬や服薬の管理
  6. バイタルチェック
  7. 吸引や呼吸器のケア
  8. 褥瘡のケア

などがあります。
看護師が介護施設で働くメリットとしては、

  • 残業がなく定時勤務が可能
  • 病院に比べて重症患者が少なく

などのメリットがある一方で、

 

  • 医療の判断を任されることが多い
  • 看護と介護の狭間に悩まされることがある
  • 高齢者が多い

といったようなデメリットもあります。

 


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まとめ

看護と介護には明確な定義がないため、介護施設で働く看護師には「看護か介護か」との悩みも多いといわれます。

 

厚生労働省による平成28年簡易生命表の概況によれば、

平均寿命は、

  • 男性 : 80.98歳
  • 女性 : 87.14歳

であり、

 

健康上の問題がない状態で日常生活を送れる健康寿命は、

  • 男性 : 71.19歳
  • 女性 : 74.21歳

と算出されていることから、

 

平均寿命と健康寿命の差が平均的な介護期間と推測されます。

 

 

平均介護期間

 

すなわち、

  • 男性 : 9.79年間
  • 女性 : 12.93年間

が、「日常生活を送る上で健康上の問題がある状態で」となるわけで、

何らかの介護が必要な期間となるわけで、

介護施設で働く看護師さんが益々増えることが予想されるのです。

 

 

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