看護師の60%以上が退職を検討している
はじめに
看護師は不足しているのか?でも書きましたように、
厚生労働省は、
- 看護師の就業者数は2013年末で約157万人であるが、
- 団塊世代が後期高齢者となる2025年には196万人~206万人が必要
と試算している。
一方で、
多くの看護師は、
- 職場での人間関係
- 看護という責任の重さ
を感じ、
そして、
- 精神的な不安
- 給与や待遇の不満
などから、看護師を辞めたいと思っている看護師も多いのです。
日本労働調査組合が行ったアンケート調査で、
看護師の60%以上が退職を検討している
ということが明らかになりました。
看護師の60%以上がが退職を検討している
この看護師の退職動機に関するアンケート調査は日本労働調査組合が、
「看護師が退職に対してどのような意識でいるのか」を調べるためにおこなったもので、
- 調査地域:全国
- 調査期間:2021年9月9日~2021年9日16日
- 調査対象:20~49歳の看護師536名
- 調査方法:インタネットによる調査
という条件で行ったものです。
その結果、
看護師の60%以上が退職を検討したことがある
というが分かったのです。
退職を検討していると回答した看護師は全体の60.6%で、
実際に転職活動を行っていると回答した看護師は24.3%もいることが分かったのです。
詳しく見る ⇒ 日本労働調査組合
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看護師の4人に1人が勤務しながら転職活動
退職を検討したことがと答えたのは全体の60.6%でしたが、
年齢別にみると、
若い看護師でやや多い傾向がありましたが、40歳代の看護師でも半数以上が退職を経験したことがあると答えています。
コロナ渦では看護師の仕事が激務化していますが、
コロナ渦と退職については、
- コロナウイルスの影響:21.6%
- コロナウイルスの影響とは別の理由 :39.0%
と、退職を考える理由は新型コロナウイルス感染とは別の理由にあるようです。
60%以上が退職を考えたことがあるわけですが、現在はどうしているのでしょう?
Q:現在、転職活動をしていますか?
という質問には、
- 転職活動をしている : 24.3%
- 転職活動をしていない: 75.7%
と、転職を考えている看護師の1/4が勤務しながら転職活動を行っているのです。
どうしてこんなに多くの看護師が辞めたいと考えているのでしょうか?
Q:看護師を辞めたくなった理由は?
という質問には、
- 第1位 : 給与や待遇の不満 49.3%、
- 第2位 : 精神的に辛い 43.3%
- 第3位 : 職場の人間関係 41.6%、
- 第4位 : ワークライフバランス 36.9%
という結果でした。
日本労働調査組合では、今年3月に医療従事者を対象におこなったアンケート調査において、
「働き続ける上で懸念や不安がありますか?」と質問したところ、
第1位は コロナの感染リスクや対策
だったそうですが、
今回の看護師を対象にした調査では「コロナの感染リスクや対策」は、
第7位、21.1%でしたから、ワクチン接種や感染の沈静化が進んだことから、コロナ感染の危機は下がってきたようです。
看護師をしていて辛かったことは責任の重さ
看護師は4Kと言われるほど大変な職業ですが、
Q:看護師をしていて辛かったことは?
という質問に対しては、
第1位: 責任の重さ 64.9%
第2位: 精神的な不安 50.4%
第3位: 感染リスク 47.8%
第4位: 給与や待遇不満 46.5%
という結果でした。
同じように今年3月に医療従事者を対象にした調査では「責任の重さ:7位」「精神的な不安:8位」でしたが、看護師を対象にした調査では1位、2位に浮上していることが特徴的だったようです。
さらに、
Q:看護師をしていて良かったと思えることは?
との質問には、
を教えてください
第1位 : 雇用の安定 51.5%
第2位 : 経済的な安定 48.5%
第3位 : 社会的な信用 34.9%
第4位 : 周囲からの感謝 28.9%
との結果だったようです。
「雇用は安定」しており「経済的な安定」はあるものの、
「待遇に不満」があり「精神的に辛い」ことから退職を考える、、ということなのでしょうか。
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まとめ
今回の調査では看護師の60%以上が退職を検討しているということが分かり、4人に1人が働きながら転職活動している実態が明らかになりました。
看護師の就業条件は改善されつつはあると思いますが、現在のコロナ禍の下では過酷な労働を強いられている看護師も多く、
人間関係や責任の重さから精神的な不安、給与や待遇不満から看護師という職業にデメリットを感じている看護師が増えていることは大きな問題です。