ナースキャップが廃止された理由
看護師といえば「ナースキャップ(ナース帽)」。
ナースキャップ帽は看護師のトレードマークのようなものです。
しかし、病院に行ってもナースキャップを被った看護師さんはいません、、、、
ナースキャップはどうして廃止されてしまったのか?、その理由は、、?
ナースキャップは看護師のトレードマーク
看護師といえば、ナースキャップ(ナース帽)です。
メンソレ-タムの蓋でもお馴染みのように、ナースキャップは看護師のトレードマークです。
看護師といえば、白衣にナースキャップがイメージですが、
最近では全くといって良いほど病院でナースキャップを見ることがなくなりました。
ナースキャップの起源は修道女のかぶるベールがその原型だといわれます。
そもそも、看護師は修道女の仕事だったそうですから、看護師のユニフォームは修道女の服装が原点になっているといわれています。
ナースキャップも修道女のベールが動きやすく短く改良されていったといわれています。
日本にナースキャップが導入されたのは、明治時代だといわれています。
色は白色が多いが、ユニフォームの色に合わせてピンク、水色などがありましたが、ナースキャップに記されたラインの数で看護師の役職を知ることができました。
看護師になりたいと憧れる女性にとってはナースキャップを被ることが夢だったのです。
ナースキャップが廃止された理由
そのナースキャップですが、現在では全くといって良いほど見ることがなくなりました。
ナースキャップはいつ頃、どんな理由で廃止されたのでしょうか?
2014年2月の日経ビジネスネットによれば、
今から十数年前だったでしょうか。ナースキャップが不潔という話が持ち上がり、その後多くの大学病院や大病院は順次ナースキャップの廃止に踏み切りました。現在では一部の医療機関と老人病院、小児病院でわずかに残っているだけになりました。
と記されていますので、ナースキャップの廃止が持ち上がったのは2000年頃だということになります。
いろいろ調べてみますと、国立障害者リハビリテーションセンターのホームページにナースキャップの廃止に至る経緯が残されています。
ナースキャップをはずす試み・廃止に向けての取り組み
くわしく見る ⇒ コチラ
国立障害者リハビリテーションセンターは、障害のある人々の自立および社会参加を支援するため、
総合的な医療・福祉サービスの提供、新しいリハビリテーション技術や福祉機器の研究開発などを行っている国立の病院・研究施設ですが、
全国6ヵ所にセンターを擁していることから国内でも大規模の医療施設と考えて良いでしょう。
そこで、国立障害者リハビリテーションセンターをモデルとしてナースキャップの廃止の敬意を検証してみましょう。
ネースキャップ廃止の発端
ナースキャップの廃止の経緯記録によると、
2001年7月17日の看護婦長会議において婦長会メンバーから、 ナースキャップをはずしたいという提案がありました。
と記されています。
その提案に基づいて、婦長会議メンバーは他院のナースキャップの廃止の取り組みついての状況などを探索し、資料を揃えて勉強会を開始したそうです。
さらに、
勉強会を終えた段階で、ナースキャップを廃止する取り組みに向けてのスケジュールを立て目標(ナースキャップ廃止)にむかって行動しました、と記されています。
この議事録から見ると、2001年頃には既にナースキャップを廃止した医療機関はあったようです。
ナースキャップ廃止の看護師の受け止め
婦長会メンバーからナースキャップをはずしたいという提案がありました、ということなのですが、看護師はナースキャップの廃止についてどのようにとらえていたのでしょか?
国立障害者リハビリテーションセンターの看護婦長会議は、全看護師を対象にアンケート調査を行っています。
その結果は、
- 廃止賛成 73人 (82%)
- 廃止反対 5人 ( 6%)
- どちらでも良い 8人 ( 9%)
- 無効 3人 ( 3%)
ということで、
「賛成」、「どちらでも良い」を合わせると81人(91%)とほとんどの看護師さんがナースキャップの廃止を望んでいることが分かります。
ナースキャップの廃止に反対した人5人(6%)の廃止反対理由は、
- ナースのシンボルで、キャップを着けると気持ちが引き締まる
- イメージとして大きな役割を果たしている
- 患者はナースキャップで看護婦と他職種を区別できる
- 戴帽式の感動が忘れられない
などだったと記されていますが、やや抽象的な、精神論のような理由です。
これを受けて、国立障害者リハビリテーションセンターではこのアンケート結果を受けて、ナースキャップの廃止を決め、目標期日を2001年11月6日と決めています。
ナースキャップの廃止の理由
国立障害者リハビリテーションセンターの看護師の91%が、廃止に同意しているのですが、はたして廃止したいとする理由はなんだったのでしょうか。
その理由は、
- 安全性
1) 細菌の感染源になることを回避する
2) 患者がナースキャップがぶつかる危険性を回避する - 効率性
1) 輸液ライン、カーテンにひっかけることを回避する
2)感染症病室の出入りに際してキャップの着脱の非効率を回避する - 看護婦の健康面
1)髪を引っ張ることによる脱毛やピン刺激による禿げを回避する
というような理由を挙げています。
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ナースキャップ廃止の主な理由
国立障害者リハビリテーションセンターはナースキャップの廃止の理由として、安全性、効率性、健康面から5項目を挙げていますが、内容を吟味してみますと主に2つに絞られます。
- ナースキャップによる感染の防止
- ナースキャップによる機能性の制限
だと思われます。
ナースキャップは細菌の感染源になる
国立障害者リハビリテーションセンターでも、ナースキャップが最近の感染源になるということについては、
「ナースキャップの細菌汚染の実態調査資料によって確認」としていますが、
ナースキャップは以外と汚い?ようなのです。
ナースキャップの廃止の議論が出てから、ナースキャップの衛生面については多くの検証が行われ、ナースキャップから種々の細菌が検出されることが判明しています。
ナースキャップの廃止の背景には、緑膿菌やMRSAという抗生物質が効かない細菌感染があるようです。
ナースキャップは、通常は毎日は交換せず、しかも形を整えるためにガチガチに糊付けされているため、この糊が細菌繁殖の温床になっていることが分かってきたのです。
特に夏期は頭皮に汗をかくためナースキャップは細菌繁殖の温床になってしまうというのです。
これらの実態が分かるに従って、マスコミも取り上げるようになり、放置できなくなってしまったというのがナースキャップの廃止の実態だったようです。
ナースキャップは患者の生命を脅かす
もう一つの大きな理由は、「輸液ライン、カーテンにひっかけることを回避する」ということのようです。
看護技術は年々進化し、病状が深刻になれば輸血や輸液のために複数のチューブが繋がれます。
また、軽症の患者でも心電図や筋電図のラインなどが繋がれますが、
ナースキャップがしばしばこれらのラインに引っかかってしまうことがあるというのです。
さらに、
患者の検温や採血
体位交換
などの場合にも患者に接触し患者に不快感を与えたり、
ナースキャップが外れたりすることも少なくないというのが、ナースキャップ廃止の理由だったようです。
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ナースキャップは看護師の憧れ
ナースキャップは不潔だとして廃止に至ったのですが、
本来はナースキャップは、
- 抜け毛やフケなどの飛散を防ぎ、
- 細菌感染を抑える
目的で使われてきたはずですが、
キャップなしで抜け毛やフケなどの飛散を防ぐことが可能かどうなのかは少々心配なところです。
ICUや手術室などでは食品工場なでも使われているような薄い帽子を被っていますが、ナースキャップなしでは大丈夫かな、、との心配もあります。
そんなことで廃止されたナースキャップですが、看護師の象徴としの位置づけは変わっていないようです。
同じような理由で看護師の服装は白衣からスクラブに替わりつつあります。
看護学校の卒業式ではまだ、載帽式が多くの看護師の教育機関で行われています。
しかしちょっと気になるのは、、、
ナースキャップの廃止の背景には男性看護師の増加もその理由だったとか、、、
看護師の教育機関での卒業式では男性はどうなるのだろうか、、、
ちょっと気になる、、、