夜勤時間が長い病院では看護師の離職率が高い
あなたの月夜勤時間は何時間ですか?
現在の労働法制では、
夜勤時間や回数の規制はない
のですが、
診療報酬の入院基本料について、
看護職員の月平均夜勤時間数は72時間以下
として一定の目安が設けられているのですが、
日本看護協会の調査で、
34%の看護職員が夜勤の基準を超えている
ことが明らかになりました。
しかし、、、
夜勤時間の長い病院では離職率が高かったそうです。
看護師の34%が夜勤時間を超過している
現在の労働法制に夜勤時間の長さや回数に規制はありません。
したがって、
- 1回の労働時間が8時間
- 週40時間の労働時間
であれば、その全てが夜勤であっても法律上は問題はないのです。
さらに看護師では変形労働時間制が認められており、
1日の労働時間8時間に加え、その後は時間外労働扱として25%以上の割増し時間外手当を支給すれば準深通しで就労しても違法にはならないのです。
しかし、
診療報酬の入院基本料について、
「看護職員1人当たりの月平均夜勤時間数は72時間以下」
との算定要件があることから、長時間の夜勤には一定の上限時間が設けられているのです。
34.8%の看護職員が72時間の夜勤時間をオーバーしている
日本看護協会の2016年の看護師労働調査の結果が報告され、
全国の看護職員の34.8%が月72時間を超える夜勤をしている
ことが明らかになったのです。
詳しく読む ⇒ 看護職員の夜勤時間数
この調査は2016年10月に、全国の8,469病院を対象におこなわれ、
回答のあった3,549病院の回答結果をまとめたもので、
約18万人の看護師や准看護師の夜勤の実態が明らかになったのです。
1ヵ月に72時間を超す夜勤をおこなっている看護師の割合は、
- 72.1~80時間以下 : 14.5%
- 80.1~96時間以下 : 14.7%
- 96.1時間以上 : 5.6%
であり、72時間を超す夜勤をおこなっている看護師が34.8%もいることが明らかになったのです。
同様の実態調査は2012年にもおこなわれていますが、前回の調査では72時間を超す夜勤は32.0%であり、前回よりやや増えたとのことです。
日本看護協会は、
月72時間の夜勤は、
- 3交代制の場合 : 1ヵ月の夜勤回数は9回
- 2交代制の場合 : 1ヵ月の夜勤回数は4.5回
に相当すると説明しています。
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夜勤時間が長い病院では離職率が高い
実態調査では、
夜勤時間と離職率の関係も調べています。
その結果は、
- 夜勤時間が72時間を超える看護師が10%未満 : 離職率は9.1%
- 夜勤時間が72時間を超える看護師が50%以上 : 離職率は11.9%
と、夜勤時間が72時間を超える割合が多い病院での離職率が高かったそうです。
日本看護協会は、
長時間の夜勤労働は看護師の健康上の問題だけでなく、注意力の散漫による医療事故のリスクも高くなるだけでなく、看護師の離職につながることから、夜勤時間や回数を法令で規制するように政府に要請しているとコメントしています。
2006年に、7対1入院基本料が導入されて以来、看護師不足が顕著になっています。
7対1入院基本料とは、あなたもご存じのように診療報酬に関する新しい基準で、
患者7人対して看護師1人を配置すれば、診療報酬が上がるという制度です。
7対1入院基本料を得るためには、満たすには、患者7人対して看護師1人を配置する以外にもいくつかの条件があります。
その1つが、
看護師の月平均夜勤時間は72時間以下
という基準です。
月平均夜勤時間を72時間以下にするためには上にも書きましたように、
- 2交代制で1回の夜勤が16時間の場合には月に4回
- 3交代制で準夜勤と深夜勤が8時間の場合には月に9回
という計算になるのです。
7対1入院基本料を満たしていない、10対1や13対1の場合にも72時間規定が適用され、違反すると診療報酬の減額になるのです。
夜勤は医療施設において必要不可欠な勤務形態ですが、
優先されるべきは看護師の健康です。
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