パウダー付きの医療用手袋の禁止はもうすぐ
パウダーつき医療用手袋の製造販売が2019年末で禁止されると言うことはご存じですね。
これは、米国食品医薬品局(FDA)が、
- パウダーは天然ゴム蛋白のキャリアーになりアレルギーを誘発する可能性がある
- パウダーは肉芽腫や手術後癒着のリスクを高める恐れがある
として2017年1月で使用禁止を決定したことに基づいて、
厚労省もパウダー付きの医療用手袋の流通の差し止めを決定したのです。
厚労省は今年3月末までにパウダーつき医療用手袋の添付文書の改訂を求めていましたが、
パウダー付きの医療用手袋85製品のうち44製品で添付文書の改訂が完了した
と発表しました。
しかし、パウダーつき医療用手袋の禁止は本当に必要なことだったのでしょうか?
パウダーつき医療用手袋が禁止
厚生労働省は2016年12月に、各都道府県衛生部に宛て、
2年以内にパウダーつきの医療用手袋をパウダーのないパウダーフリー手袋に切り替えるよう通知しました。
通知「パウダー付き医療用手袋に関する取扱いについて」(薬生機審発1227第1号・薬生安発1227第1号)
詳しく見る ⇒ 厚労省の指示書
これは、米国食品医薬品局(FDA)が、
- パウダーは天然ゴム蛋白のキャリアーになりアレルギーを誘発する可能性がある
- パウダーは肉芽腫や手術後癒着のリスクを高める恐れがある
として、
パウダー付きの医療用手袋の流通の差し止めを発表したことに基づくものです。
詳しく読む ⇒ パウダー付き医療手袋は禁止
医療用手袋には着脱時に滑りを良くするため手袋の内側にコーンスターチ等の微細粉末を塗布してあるのですが、
我が国でも、全性上のリスク要因になるとして、
「2年以内にパウダー付き医療用手袋の流通禁止」
を決定したのです。
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パウダーフリー対象の医療用手袋
世界における医療用手袋の年間の使用量は、
- アメリカ : 4億4,600万枚
- ヨーロッパ : 3億6,100万枚
と非常に多く、
日本でも7,800万枚
が消費されています。
そして、
パウダーフリーに切り替えなければならない医療用手袋とは、
- 天然ゴム製手術用手袋
- 天然ゴム製検査・検診用手袋
- 非天然ゴム製手術用手袋
- 非天然ゴム製検査・検診用手袋
- 歯科用手袋
の5種類とされています。
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パウダーつき医療用手袋の全面禁止までの処置
厚労省は、2016年12月に、
「2年以内にパウダー付き医療用手袋の流通禁止」
を決定し、
各製造会社に、
2019年末までにパウダーフリー手袋への供給切替えを行うように指示しています。
さらに、
パウダーフリー手袋への供給切替えを行うまでの間の対応として、
パウダーつき医療用手袋の添付文書の【使用上の注意】の項に、
- パウダーは天然ゴム蛋白のキャリアーになりアレルギーを誘発する可能性がある
- パウダーは肉芽腫や手術後癒着のリスクを高める恐れがある
を記載し、医療機関等に情報提供を行うことを指示し、
平成29年3末日までにPMDA(安全第一部医療機器安全課宛)に進捗を報告するように求めていたのですが、
厚労省の秋の発表によると、
パウダー付きの医療用手袋85製品のうち44製品で添付文書の改訂が完了
し、報告期限の2017年3月末までに過半数の製品で添付文書の改訂が終わったとしています。
さらに、6製品については改訂作業中で、残る35製品については、製造販売を終了していたり、今後の製造販売の予定がない製品だとのことです。
パウダーつき医療用手袋のパウダーフリーへの切り替えは着々と進んでいるようですが、 パウダー付き医療手袋は禁止でも書きましたように、
厚労省の発表では、
パウダー付き医療用手袋に関する医療事故は、
平成18 年にアナフィラキシーショックが報告された
という1件だけで、
近直の8年間では医療用手袋による有害事象は報告されていない
と述べています。
さらに、平成18 年のアナフィラキシーショックについても医療用手袋のパウダーに起因するか否かは不明だというのです。
今回のパウダーつき医療用手袋の廃止は本当に必要な処置だったのでしょうか。