男性の看護師が増えている
女性社会と思われがちな看護師の職場に男性看護師が急増しています。
看護師といえば、“白衣の天使”や“ナイチンゲール”を連想する人が多いように、女性を思い浮かべる人が多いのですが、男性看護師が増えているのです。
2012年度に全国の看護大学に入学した男性は5年前に比べ、約1.4倍の約1,900人と全体の約10%を占め、
平成26年における男性看護師数は約63,000人で、10年前に比べ2.4倍になっています。
看護師は男性の職業だった
看護師という職業は古くは欧州で始まっています。
欧州では17世紀に、男性修道士たちが奉仕活動の一環として病院の看護を行ったのが看護師という仕事の始まりといわれています。
この当時は修道士は全員が男性でした。
看護師の仕事に女性が進出したのは、看護師の祖といわれるフローレンス・ナイチンゲールが初めてです。
フローレンス・ナイチンゲールはクリミア戦争での負傷兵を看護するために38名の女性を引きつれて戦地に赴いたのです。
フローレンス・ナイチンゲール達、女性の看護師は敵味方の分け隔てなく負傷兵を看護したことが民衆の心を動かし、
1860年にロンドンに世界最初の看護学校が開校したのです。
看護学校が開校により、それまでの修道士の奉仕活動から、職業としての看護が確立されたのです。
ナースキャップは、
- 衛生的でない
- 仕事の妨げになる
として廃止されてしまいましたが、
詳しく見る ⇒ ナースキャップが廃止された理由
ナースキャップは修道士がかぶっていたベールが変化したもので、
ナース服も修道衣がルーツだといわれています。
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男性看護師の急増は男女雇用機会均等法
国内における男性の看護師は明治時代に始まっているといわれます。
この当時は、
看護人と呼ばれて精神科などに勤務する看護人が多かったのですが、
1968年には看護士と呼称が変更され、
- 女性:看護婦
- 男性:看護士
と呼ばれていました。
2002年に保健師助産師看護師法が施行されると、
女性の看護婦と男性の看護士が統一されて看護師となったのです。
男性の看護師が増加するきっかけは、
1985年に施行された男女雇用機会均等法だといわれています。
1982年には男性の看護師はわずか3,895人でしたが、
男女雇用機会均等法が成立した翌年の1986年には1.7倍に増加しています。
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男性看護師はこれからも増える
- 女性の電車運転手
- 女性のタクシードライバー
など、男性の職場と考えられていた職種に女性の進出が目立つのですが、
女性の職場と考えられていた看護や介護の職場に男性の進出が目立っています。
2008年 | 2012年 | 2016年 | |
看護師総数 | 877,182 | 1,015,744 | 1,149,397 |
女性看護師数 | 832,298 | 952,423 | 1,065,204 |
男性看護師数 | 44,884 | 63,321 | 84,193 |
新設の大学病院などでは積極的に男性の看護師を採用する病院も多いそうで、
男性看護師はこれからも増えると予想されており、
2014年には一般社団法人・日本男性看護師会が発足しています。
詳しく見る ⇒ 日本男性看護師会
また、民間団体ですが「全国男性看護会」も2014年に設立されています。
詳しく見る ⇒ 全国男性看護師会
かつては、
看護士として精神科などで患者が粗暴な行動にあるときには男性看護師が対応したのですが、
脳梗塞などの重症患者や認知症の患者など、女性の看護師だけでは手に負えないときや、
泌尿器科などでは男性の看護師が重宝するのだそうです。
しかし、美容外科や美容皮膚科への男性看護師の就職は無理のようです。